ズノンのミッション

人生をより深く満喫したい方々へ・・・ZNONZのミッション

 家業3代目の務めも最終コーナーに差し掛かり、4代目への交代も視野に入ってきたので、以前より思い描いていた夢を実現すべくズノン(株)を立ち上げました。

この会社は万人のお客様のためではなく、特定分野にご興味ある方々のご要望に特化した製品やサービスをお届けすることを使命としています。
言い換えれば、
誰もが欲しいと思う製品ではなく、
誰かが欲しいと思う製品を提供いたします。


と申すのも、起業の発端は、うち続く産業空洞化で絶滅危惧種となってしまった国内小規模製造業の、かつての栄光を忘れがたく思っている方々が、秘蔵する数々のアイデア、それも幾多の経験に裏付けられた高い実現性の価値あるものを発掘、再評価し製品化したいと思ったからです。
そしてこのようにしようとすれば、自ずと特殊で特異なものが浮かんできたのでした。

1970年ころまでの東京の下町は中小工場の集積地で日本のもの作りの原点の一つでした。しかし急速な円高で顧客である大企業は工場を海外へ移転したため下町・下請け産業は仕事を失うことになりました。この間、様々な形での孤軍奮闘むなしく、転廃業が多発し今は見る影もないのです。株主資本主義とグローバリゼーションのなせる技とは言え、虚しさを感ぜざるを得ません。そしてこれは幾多の不完全燃焼の優秀な技術者を虚しく葬る原因となってしまったのです。

私はこれらの会社群が元気に忙しく活動していた時代を知る最後の年代でもあります。そして先輩の中には長年の実務経験で培われたアイデアや知見を、多数お持ちでありながら、それらを世に出す場も仲間も資金もないというジレンマを抱える方々もおられます。そしてそれらの方々は人生を全うする時期が迫ってきてもいるのです。
ということで弊社は、これらの同胞とも言える方々との協業復活と成果実現も大きな目的としています。国産にこだわる所以でもあります。

社名の由来

アルファベット26文字のうち、上下逆さにしても可読な文字だけで構成するすべての組み合わせを作成し、消去法で選んだ名です。(A,B,Cなどはダメで、O,H,IなどはOK)
ZNONZの綴りが始めに出来、終端のZを無声文字としてズノンと決めました。やや強い響きがありますが気に入っています。

エンブレムのデザイン

六角形の外形はネッカーキューブという、意図的に錯視を起こす「現実には有り得ない立体」です。これはスイスのルイス・アルバート・ネッカーにより1832年に考案されました。当時はその不可解性が相当なインパクトで迎えられ、以後、無限階段のイラストで有名なエッシャーなどに引き継がれました。これが画像印刷、カラー印刷、映画などの錯視を応用した画像技術発展の元祖となったのです。ZNONZエンブレムはこれに日本家紋の1種である井筒紋を加えて和魂洋才を現すと共に、錯視を応用した様々な商材を提供する会社との位置付けをも表現しています。

知財

弊社代表はマイクロレンズ製造法の発明で2008年に政府から文科大臣賞、2009年に天皇陛下から黄綬褒章を頂きました。これは1993年に出願した最初の特許以降、パテント数点で構成された技術です。
ZNONZはその延長線で開発を進めました。すでに数点の特許、商標、意匠を権利化しており、現在それらを国際出願中です。

画像分野は我がドメイン

図暢亭主は蒸気機関車が働く貨物操車場を見て育ちました。黒煙の臭いと共に力強い動きは今でもまぶたに焼き付いています。そしてこれを忘れられず、高校時代に近代化で消えゆく蒸気機関車の勇姿を追うため、一眼レフカメラを買いました。機種は叔父が勤めていた日本光学と決めていました。

 その後、写真への興味が深まるとともに家業の主部である印刷技術習得が相まって、大学は国立唯一の画像技術系へ進みました。余談ですが妻とも写真部での出会いです。 画像分野は私のドメインであると自認しています。

ピンホールカメラとレンズレス光学素子

 銀塩からデジタルへ写真市場が変遷し始めたころ、とあるお客様からピンホールカメラを大量生産できるか打診を頂きました。弊社は紙箱製造も手がけるので、「暗箱もOK」と答えると「ピンホールはどうする」との問い。難題でしたがこの安定量産を可能にしたらビジネスが成立し数年間で数十万台のフィルムカメラキットを製造しました。

その後、市場がデジタル一辺倒となったため休止していましたが、思いもよらず2年前から復活し、少しではありますが継続しています。

 この間、様々な方々との交流を通じてゾーンプレートなどの知見をいただき、刺激を受け、デジタル時代に添う形にブラシュアップしたのがZNONZとなりました。

デジタルは便利な手段だがオールマイティーではない

事業の目的はお客様に幸福を提供することだと自認しています。このためには安全、安心、安価、持続性などの必要条件を満たすことはもちろんですが、人が感じられるすべての感覚を幸福に満たすような製品やサービスが提供されるべきでしょう。これが十分条件だと思います。

人間の感覚は視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚の、いわゆる五感で構成されています。その内、デジタル技術で扱えるのは視覚と聴覚の二感覚のみですから、これで人々の欲求のすべてを満たすことにはならないと言えましょう。残りの三感覚を満たしてこそ、より良い製品だと思います。弊社が臭いでのコミュニケーションとしてプルースト効果のための製品を用意いたしたのも、これが所以です。また申すまでもなく、触覚や味覚も是非製品化したいと考えています。

「写真」と言う誤訳の罪・・・「光画」が正解

フォトグラフのことを「写真」と翻訳したのは○○ですが、これはいかがなものかと思っています。私は、photoは光のことで、graphは画像のことですから、「光画」と訳すのが正しいのではと考えています。「写真」と言われてしまうと「真実を写す」と言うことになり、昨今のデジタル技術で加工したものは「真実」ではありませんから「写真」ではないことになってしまうからです。また日本人に限って、写真は真実を写すものとの固定概念が生じているのも世界から見れば、むしろ滑稽なことにもなりかねません。

小回りのきく事業規模

大企業で新規事業を始める時、数年で数十億円の売上規模や収益が見込まれなければ、計画案は通らないようです。しかし小さな会社ならこのような制約はありません。思いのままです。

 ZNONZはこのような思いで始めました。ただしリスクはすべて創業者がかぶるのを覚悟しなければなりません。また幸運にも何人かのパートナーにも恵まれました。もちろん事業はひとりではできませんから。

 そして自他共に認められる一定の規模までは是非成長したいと思いますが、自らしたいこと、リクエストの中から上案だと思ったことが実現できない規模にはしたくありません。

 物事には「頃合い」や「潮時」があると心得ています。「船頭多くして、船、山に登る」のたとえのように、ジャッジに手間取り、これらを逃すようではお客様のご期待に応えたことにはならないと思うのです。

 ここで売上何億、社員何人などと申告するのはご勘弁頂きたいと思いますが、上の考えで始めています。

代表取締役
湯本 好英